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マイナ保険証がなくても、通常の救急対応は受けられます。カードを探すために、119番通報や応急手当を遅らせないでください。

マイナ保険証がなくても、通常の救急対応は受けられます。カードを探すために、119番通報や応急手当を遅らせないでください。

マイナ救急は、救急隊がマイナ保険証で受診歴や薬の情報などを確認し、搬送先の選定や病院への引継ぎに役立てる仕組みです。2025年10月に全国の消防本部で一斉に実証が始まり、2026年度から各消防本部で本格運用となっています。

まず、よくある不安への答えです。

気になること答え
カードがないと運んでもらえない?通常の救急対応になります。
意識がなくても使える?カードなら、生命・身体の保護が必要で同意を得ることが困難な場合、同意なしで閲覧することがあります。
暗証番号を忘れたら?カードの場合、入力は原則不要です。
スマホだけで大丈夫?本人の認証操作が必要なため、意識不明時などは使えません。
税金や年金の情報まで見られる?閲覧できません。

情報確認日:2026年10月1日。本記事は2025年5月公開の記事を、最新の公的資料に基づいて全面改稿したものです。

119番通報から同意・本人確認・閲覧・活用までの5ステップ、閲覧できる3種類の情報、令和4年度の6本部30隊から令和8年度の712本部5417隊までの経緯、令和7年度実証の実施率17.4%や現場活動時間の比較をまとめたもの
マイナ救急の全体像(総務省消防庁の公表資料をもとに作成)

この記事でわかること

  • マイナ救急の流れと、救急隊が確認できる情報の範囲
  • カードがない・同意しない・意識がない場合の扱い
  • スマホのマイナ保険証とカードの違い
  • 救急車を呼んだとき家族が準備するもの
  • 全国実証のデータから見た効果と課題(救急隊員向け)

マイナ救急とは

救急隊員が、健康保険証として利用登録したマイナンバーカード(マイナ保険証)を使い、過去に受診した医療機関や処方された薬などの医療情報を閲覧する取組です。搬送先の選定や処置、病院到着後の治療準備に役立てます。[S1]

救急隊は、名前や生年月日のほか、かかりつけの病院や飲んでいる薬を聞き取ります。しかし、苦しんでいる本人や動揺している家族が正確に答えるのは難しいこともあります。マイナ救急は、こうした「説明しきれない情報」を補う仕組みです。

実証から本格運用までの経緯

年度内容規模
令和4年度医療機関向けシステムによる実証実験6本部30隊
令和5年度システム構築に向けた検討—
令和6年度実証事業67本部660隊
令和7年度救急隊専用システムで全国実証(2025年10月1日から全本部一斉)720本部5,334隊
令和8年度各消防本部で本格運用。4月からスマホのマイナ保険証に対応712本部・5,417隊(消防庁公表の実施体制)
出典:S2・S9・S1。本格運用の開始日は消防本部ごとに異なります。

現場での流れ

  1. 119番通報:指令員が通報者に、マイナ保険証の準備をお願いします。
  2. 同意の確認:救急隊員が本人に、医療情報の閲覧について同意を求めます。
  3. 本人確認:本人の顔とカードの写真を見て確認します。暗証番号の入力は原則不要です。
  4. 情報閲覧:専用のカードリーダーで読み取り、タブレット端末で閲覧します。
  5. 活用:搬送先の選定や処置、病院への情報伝達に使います。

出典:S1。消防本部によって流れが若干異なる場合があります。

カードがない・利用を希望しない場合

カードを持っていない、保険証として利用登録していない、本人の同意が得られない場合は、通常どおりの救急対応になります。本人や家族からの聞き取りで必要な情報を確認します。[S4]

カードが見つからなければ、そのまま救急隊に伝えてください。救急車を呼ぶ前に、カードを探したり利用登録を済ませたりする必要はありません。閲覧に不安があれば、何のためにどんな情報を見るのか、その場で救急隊に質問できます。

意識がないときは?同意と暗証番号

医療情報の閲覧は、本人の同意が原則です。ただし、生命・身体の保護のために閲覧が必要で、意識不明などで本人から同意を得ることが困難な場合は、同意なしで閲覧することがあります。[S8]

消防庁は、これを個人情報保護法に基づく扱いとして説明しています。同意なしで閲覧した場合は、家族や施設関係者、医師などに説明用の紙を渡す運用です。[S12]

「意識がなく意思を確認できない」ことと、「本人が閲覧を希望しない」ことは別です。意思を伝えられる場合は、希望を救急隊に伝えてください。

スマホとカードの違い:意識不明時に注意

2026年4月から、スマホに搭載したマイナ保険証(iPhone・Android)でもマイナ救急が実施できるようになりました。ただし、本人確認の方法がカードと異なります。

比較カードスマホ
本人確認救急隊が顔と写真を目視で確認本人による認証操作が必要
暗証番号など原則不要iPhoneは生体認証等で画面ロック解除。Androidは読み取り後、救急隊のタブレットで本人が4桁の暗証番号を入力
意識がないとき活用できる場合がある実施できない
出典:S1・S9

消防庁は、スマホに搭載している方にもカードのマイナ保険証を持ち歩くよう呼びかけています。[S1・S5]

救急隊には何が見える?個人情報の範囲

救急隊員が閲覧できるのは、氏名や住所などの券面上の情報と、受診歴や薬剤情報などの医療情報だけです。税や年金など、救急活動に関係のない情報は閲覧できません。[S6]また、マイナ救急では12桁のマイナンバーは使用しません。[S4]

医療情報の種類主な内容期間
診療/薬剤情報受診歴(医療機関名・受診年月)、薬剤情報(調剤年月日・医薬品名・調剤数量等)、手術情報、診療情報過去5年分
特定健診情報40歳以上の特定健診結果(75歳以上は後期高齢者健診)。血圧、血糖、心電図、質問票(服薬・既往歴等)など過去5回分
救急用サマリー直近3か月分の受診歴・薬剤・診療情報、過去5年分の手術情報などの要約版—
出典:S1

システムの仕様上、閲覧した情報は端末内に保存できません。[S2]

すべての病気やアレルギーが自動的に分かるわけではありません。消防庁の2026年9月29日付事務連絡では、傷病名・感染症情報・アレルギー情報・検査情報などの臨床情報や処方情報は「今後、新たに追加される予定」とされています(時期は示されていません)。分かっているアレルギーや注意事項は、救急隊に直接伝えてください。[S10]

お薬手帳はまだ必要?

必要です。マイナ保険証で確認できるのは処方・調剤された薬の情報で、自分で買った市販薬は記録されません。金沢市の案内では、マイナポータル等で確認できる薬の情報は「過去1ヶ月~5年の間」に処方・調剤された分とされています(電子処方箋に対応した施設の情報は、より早く反映されます)。[S7]

つまり、ごく最近処方された薬は表示されないことがあります。実証でも、医療機関から「直近の薬剤情報が掲載されていない」という声が出ています。[S2-資料]最近変わった薬、やめた薬、その日に飲んだ薬は、分かる範囲で伝えてください。

カードを見せたのに、なぜまた質問されるの?

記録からは「今日いつから、どう具合が悪くなったか」は分かりません。症状の経過は聞き取りでしか確認できません。分からないことは「分かりません」で大丈夫です。

また消防庁は2026年9月29日、本人から話を聞ける場合も含め、全救急事案での活用を基本とする運用を検討するよう各消防本部に依頼しました。聞き取った内容の補完・確認や、本人の説明負担の軽減にも有効とされているためです。これは消防本部の運用に関する依頼で、市民にカードの所持や提示を義務づけるものではありません。[S10]

救急車を呼んだら、家族が準備するもの

まず119番の指令員の質問に答え、応急手当の指示があれば従ってください。手当や見守りを優先し、余裕があれば次のものを用意します。[S11]

  • マイナ保険証または資格確認書
  • 普段飲んでいる薬(お薬手帳)
  • 診察券
  • お金、靴
  • 乳幼児の場合:母子健康手帳、紙おむつ、ほ乳瓶、タオル

救急隊には、具合が悪くなった状況、救急隊到着までの変化、行った応急手当、持病やかかりつけ医などを伝えてください。[S11]なお、マイナ救急に使えるのはマイナ保険証(カード、またはスマホ搭載のもの)です。[S1]

【救急隊員向け】全国実証のデータと運用のポイント

以下は、令和7年度実証の最終報告(データ収集:2025年12月4日〜11日の1週間、全720本部、不搬送・転院搬送を除く)の数値です。[S2・S2-資料]

項目令和7年度令和6年度
救急搬送件数(A)118,911件159,492件
実施判断件数(B)76,048件142,324件
マイナ保険証所持(C/B)14,148件(18.6%)12,610件(8.9%)
情報閲覧件数(D)13,249件11,398件
マイナ救急実施率(D/B)17.4%8.0%
令和6年度は原則全事案、令和7年度は必要に応じて実施と、運用が異なる点に注意
  • 同意困難時の閲覧:1,091件(閲覧件数の8.2%)
  • 有用性:「情報の正確性の裏付けができた」45.9%、「医療機関への引継ぎがスムーズ」18.8%、「搬送先選定がスムーズ」17.7%
  • 改善要望:「ログインの負担を減らす」81%(端末・閉域網・システムの3回入力)、「薬剤の効能が表示されるようにする」40%

現場活動時間:準備の有無で逆転する

区分(令和7年度)現場到着〜現場出発(平均)
未実施事案20分19秒
実施事案(全体)21分19秒
うち事前説明あり18分56秒
うち事前ログインあり19分20秒
うち事前説明+事前ログインあり18分16秒
資料では、差は有意水準5%で統計的に有意と記載。事前説明・事前ログインを行った事案は実施事案の約4割

全体平均では実施事案の方が約1分長く、短縮が見られたのは事前説明や事前ログインをした事案です。旧記事で「現場活動時間の短縮が確認された」と書いた点は、ここで訂正します。

運用のポイント

以下は消防庁が示した手順ではなく、上記データと公表資料をもとにした実務上の整理案です。

  • 指令段階:通報時のマイナ保険証の準備依頼を確実に。
  • 出場途上:事前ログイン。プレアライバルコール等と競合しない手順にする。
  • 接触時:救命処置・観察を優先し、並行実施できる人員配置かを判断する。
  • 同意:取得の有無と、取れない場合の理由(意識レベル等)を記録。同意なし閲覧時は説明紙を関係者へ。
  • 閲覧:救急用サマリーで直近の受診先・処方を確認し、聴取内容との食い違いに注目。直近の処方は反映されていない可能性を念頭に置く。
  • 病院連絡:抗凝固薬や血糖降下薬など、搬送先の準備に直結する情報を優先して伝える。
  • 引揚げ前:ログアウトとカード返却を確認(隊員アンケートで「ログアウトボタンが目立たず、タップし忘れる」との声あり)。

※プレアライバルコール(現場へ向かう救急隊が通報者に電話し、傷病者の状態確認や応急手当の助言を行うこと)

なお、意識不明者の所持品からカードを探してよいかは、消防庁の検討会で「現場ニーズは拮抗しており、今後も慎重な検討が必要」とされ、結論は出ていません。[S2-資料]

活用事例(令和6年度実証・消防庁公表)

個々の事案での報告であり、すべての事案で同じ結果になることを示すものではありません。[S13]

  • 60歳代男性・心肺停止:事業所で倒れ、同僚は既往歴等を把握していなかった。救命処置と並行して既往歴や薬剤情報を確認し、搬送先に伝達。早期の緊急手術につながり、その後退院・社会復帰したと報告されています。
  • 90歳代男性・高齢の夫婦のみ:意思疎通が困難で、妻も病歴や薬を把握していなかったが、自宅にあったマイナ保険証から通院履歴・薬剤情報を確認し、円滑に搬送先を選定。
  • 50歳代女性・帰省中:食事中に意識を失い倒れた。お薬手帳がなく処方薬が不明だったが、薬剤情報を確認し、初診の医療機関ながら円滑に搬送先を選定。

よくある質問

カードを作っただけで利用できますか?

健康保険証としての利用登録が必要です。医療機関・薬局のカードリーダーなどで登録できます。[S3]

使えば必ず早く病院に運んでもらえますか?

必ずとは言えません。実証の全体平均では、実施事案の現場活動時間は約1分長くなりました。一方、事前準備をした事案では1〜2分程度短くなっています。[S2]

閲覧された情報は救急隊の端末に残りますか?

システムの仕様上、閲覧のみで端末内には保存できません。[S2]

カードを見せたら、もう説明しなくてよいですか?

今日の症状や経過、最近の薬の変更などは、分かる範囲で伝えてください。

まとめ

マイナ救急は、本人や家族が説明しきれない医療情報を補う仕組みです。カードがなくても通常の救急対応は受けられます。日頃はカードのマイナ保険証とお薬手帳を備え、急病時はカード探しより通報と手当を優先してください。

救急隊にとっては、効果の中心は時間短縮よりも情報の裏付けと病院への正確な引継ぎにあります。事前準備の徹底と、今後追加される臨床情報・医療機関との連携機能の動向に注目です。

参考資料(2026年10月1日確認)

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救命士から民間救急への挑戦ストーリー 40代、2児の父。 約20年間、救命士として現場の最前線で活動してきました。 持病の悪化で現役続行を断念。民間救急開業への経過や現役救命士のサポート情報を発信していきます。