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靴はそろえなくて…大丈夫です!

30秒でわかる結論

  • 救急隊員が玄関で脱いだ靴は、そろえずにそのままで大丈夫です。隊員は搬出時の役割に合わせて靴の向きや位置を決めていることがあります。
  • 金沢市消防局は2026年8月、公式Instagramで「脱いだ靴はそのままに」と呼びかけました。そろえられると、履き直しで体感30秒ほどロスし、揺れで傷病者に影響が出ることもあると説明しています。
  • 靴より助かるのは、お薬手帳・薬、マイナ保険証(カード)、診察券の準備と、「最後に普段どおりだったのはいつか」を伝えることです。
  • かかりつけ病院の希望は遠慮なく伝えてください。ただし、病状や受入れ状況によって、希望どおりにならないことがあります。

【要記入:筆者表記】例)筆者は元救急隊長です。本記事は個人の見解です。

なぜ救急隊の靴をそろえない方がいいのか

普段なら、来客の靴をそろえるのは気遣いです。ところが救急現場では、きれいに見えることより、すぐに履いて外へ出られることが優先されます。

金沢市消防局の説明によると、救急隊は役割によって靴の向きを決めており、隊員それぞれが自分の靴を履きやすい位置に置いています。家から運び出すときの隊形を想定したうえで脱いでいるため、そのままなら自分の靴を探さずに履いて出られます。



Instagram 金沢市消防局 引用

搬出のとき、隊員は担架やストレッチャーを保持したまま玄関に戻ってきます。一見バラバラでも、それが「戻ってきた位置で、そのまま足を入れられる配置」です。

そろえられると、現場では何が起きるか

金沢市消防局が報道取材に答えた内容をまとめると、次のとおりです。

  • 靴を探す・履き直す動作が増え、体感で30秒ほど時間をロスする
  • いったん傷病者から手を離し、床に置いてから靴を元の配置に戻して履くことがある
  • その間の揺れや動きで、酸素マスクやAEDパッドが外れる危険や、嘔吐を誘発するおそれがある
  • 靴をそろえてくれる家庭は、出動10件のうち1〜2件ほどある

つまり、そろえてくださる方の多くは善意です。だからこそ消防局は、SNSで「そのままで大丈夫」と知ってもらうことを選んだわけです。

全国どこでも同じルール?

金沢市消防局の担当者は、これは全国統一のルールではないとしつつ、救急・消防の現場では常識として共有されていると話しています。消防本部や隊によって靴の置き方は違いますが、「救急隊の靴には触らない」と覚えておけば、どの地域でも困ることはありません。

【筆者の現場から】

【要記入:筆者の経験(個人・場所が特定されない形で)】
例:玄関でそろえられた靴を前に、担架を持ったまま一瞬止まった場面/狭い玄関・階段で靴の向きが効く理由/家族に「そのままで大丈夫です」と伝えるときの言い方 など。
※「何に困ったか→なぜそう置くのか→家族にどうしてほしいか」の順で2〜4文。

靴をそろえるより、準備してもらえると助かること

「何かしなければ」と思ったら、次のものを用意してください。ただし、傷病者のそばを離れる必要はありません。応急手当や見守りが最優先です。

1.お薬手帳・普段飲んでいる薬

飲んでいる薬から、持病や今回の症状との関係が見えてきます。搬送先の選定や、病院への情報伝達にも使います。

2.マイナ保険証(カード)

「マイナ救急」は2025年10月1日から全国で実施されており、2026年度は約99%の消防本部が対応しています。救急隊がマイナ保険証を読み取り、本人の同意を得たうえで、過去の受診歴や薬剤情報などを確認し、搬送先の選定や処置に活用します。119番通報の時点で、指令員から準備をお願いされることもあります。

注意点:スマートフォンに搭載したマイナ保険証は、本人の生体認証や暗証番号入力が必要なため、意識がない状態では使えません。スマホ搭載済みの方も、カードのマイナ保険証を用意しておくのが確実です。

3.診察券

通院先がすぐにわかる手掛かりになります。

4.最低限の外出準備と、通り道の確保

余裕があれば、本人の履物・上着・眼鏡や補聴器、付き添う方の身の回り品を。玄関から部屋までの通り道に物があれば、安全にできる範囲で寄せておくと搬出がスムーズです。

物より大事な「情報」──救急隊が知りたいこと

救急隊は現場で、本人やご家族から、かかりつけの病院や飲んでいる薬などを聞き取っています。特に知りたいのは次の5つです。

  1. 最後に普段どおりだったのはいつか
  2. 何が、どのように起きたか
  3. 普段の病気(持病)
  4. 飲んでいる薬
  5. かかりつけの病院

とくに1つ目が重要です。「朝から調子が悪い」より、次のような伝え方のほうがはるかに役立ちます。

朝8時までは普通に話していました。9時ごろから右手が動きにくくなって、9時半には言葉がおかしくなりました。高血圧で○○病院に通っていて、この薬を飲んでいます。

脳卒中などでは、発症からの時間で受けられる治療が変わります。慌てていて当然なので、思い出せる範囲で大丈夫です。

希望の病院は伝えてOK。ただし、必ず行けるとは限りません

「いつもの○○病院がいい」という希望は、遠慮なく伝えてください。通院先には持病や治療歴の情報があり、搬送先を考えるうえで大切な材料になります。

一方で、救急搬送の病院選びにはルールがあります。消防法に基づき、各都道府県が「傷病者の搬送及び受入れの実施に関する基準」を定めており、消防機関はこれを守って搬送することになっています。その基本は、観察の結果から、その傷病者に適した医療機関を絞り、その中で搬送時間が最も短い病院を選ぶこと。かかりつけ病院は、状況に応じて考慮されます。

そのため、次のような場合は、かかりつけ以外の病院へ搬送することがあります。

  • 今回の病気やけがに、かかりつけ病院では対応できない(専門科がない、より高度な治療が必要)
  • 担当科の医師が不在、ベッドが満床、手術中などで受入れができない
  • 一刻を争う状態で、より近い対応可能な病院へ向かうべき

救急隊は搬送前に病院へ連絡し、受入れの了解を得てから出発します。「希望は伝えられる。でも、今の状態に合った病院が優先される」と覚えておいてください。希望を伝えるときは、「なぜその病院なのか」(例:心臓の病気で通院中)を添えると、判断材料として役立ちます。

よくある質問

Q. もう靴をそろえてしまったら?

気にしなくて大丈夫です。隊員が対応します。気づいた時点で、それ以上動かさずにおいてください。

Q. マイナ保険証をスマホにしか入れていません

本人が操作できればスマホでもマイナ救急を利用できますが、意識がない場合は使えません。カードも手元に置いておくのがおすすめです。

Q. かかりつけ病院に必ず運んでもらえますか?

必ずではありません。病状に対応できるか、受入れが可能か、搬送時間などを踏まえて決めます。希望は理由とあわせて伝えてください。

まとめ

救急隊が来たときに家族にお願いしたいことは、意外とシンプルです。

  • 靴は触らない
  • お薬手帳・マイナ保険証(カード)・診察券を用意する
  • 「最後に普段どおりだったのはいつか」を伝える
  • 希望の病院は理由とあわせて伝える

普段のマナーと、救急現場で助かる行動が一致しないことがあります。「靴はそのまま」は、その代表例です。

出典・参考資料

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救命士から民間救急への挑戦ストーリー 40代、2児の父。 約20年間、救命士として現場の最前線で活動してきました。 持病の悪化で現役続行を断念。民間救急開業への経過や現役救命士のサポート情報を発信していきます。